お金を稼ぐコツ 〜Part2〜
掘れば掘るほど深さを実感するタクシーの世界。引き続き、お金を稼ぐ必殺技・裏技を徹底取材!
Part1からの続き
伊藤 ---
先ほど、お客様の通勤エリアという話がありましたが、走り方のポイントとかあるのですか?都心に向かうにあたり一直線で向かうとか。環状線を使えとか。
中島 ---
(予め用意した原稿に基づき)アンサーありきの質問してるよね?(笑)
伊藤 ---
(笑)
中島 ---
基本的には都心3区(港区・中央区・千代田区)に向かうけど、一直線で向かうと良くないな、と個人的には思っていて。早く着くから良いと思いがちなんだけど、そうすると空車の時間が長くなるので、お客様を乗せながら都心に向かう方が良いと思う。
伊藤 ---
なるほど。
中島 ---
そのためには、真っ直ぐ走るのではなく、ジグザグに走っていくことが必要。
伊藤 ---
ジグザグに走ると、どんな効果があるんですか?
中島 ---
それはさっき言ったんだけど。(笑)
ジグザグというのは、横の道をうまく使うというイメージですね。一直線というのは縦の道を行くということ。東京の道って、縦の道をひたすら行くと皇居に行き着くんだけど、皇居では乗る人がいないからね。従って、縦の道、横の道とジグザグに行くと、人が乗る確率が上がるわけ。
伊藤 ---
なるほど。現役ドライバーの時に、都内の走り方で気をつけていたことはありますか?
中島 ---
乗せるために?空車時ゆっくり走るということじゃないですか。バーンと行くと、乗せられないよね。気づかないしね。ゆっくり走っていた方が安全だし。
伊藤 ---
安全。プロドライバーの心得ですね。
中島 ---
あと、出来るだけ迷惑のかからない範囲でだけど、信号に引っかかるようにする。交差点手前で、信号で行くか止まるか悩んだときは必ず止まる。
伊藤 ---
先に進みたくなっちゃいそうな気もしますが。
中島 ---
思いがちですけど、僕らは停まるね。
伊藤 ---
なぜ停まるのでしょう?もちろん、プロドライバーとして当然なのでしょうが。
中島 ---
もちろん安全のためもあります。ただ、信号っていうのは、タクシーの営業機会において、お客様をお乗せする機会がとても多いシチュエーションの一つなのです。
伊藤 ---
というのは?
中島 ---
そのままですよ。(笑)
信号待ちの時こそ人は乗ってくるから。向こうから。
伊藤 ---
へー、一般的には、手を挙げて乗ってくるイメージですけど。
中島 ---
そうですよ。向こうから。
伊藤 ---
あ、お客様の方から来てくださる、ということですね。
他にありますか?
中島 ---
基本だけど、左折をたくさんする。
伊藤 ---
左折にはどんな効果があるのですか?あまりイメージが湧かないのですが。
中島 ---
左折をするということは、歩道寄りを走っているということ。そして横断歩道を左折するということは、向こうからくる歩行者を待つための時間が生まれる。結果、向こうから信号を渡ってきた方が乗ってくるケースが多い。だから左折を多くすると。
伊藤 ---
なるほど。先頭で停まって、かつ左折するとお客様が乗ってくると。後ろにいると先頭の車に持って行かれちゃうわけで。なるほど、これはかなり合わせ技ですね。
中島 ---
基本です。
伊藤 ---
基本ですか?みんな狙っているのですね。これはかなり有効活用できそうですね。
伊藤 ---
右折は使って良いですか?
中島 ---
ケースバイケースですね。交差点の構造によるけど。3車線、4車線もある大きな交差点の場合は効果的じゃないけど、T字路を右折する分には左折と同じような効果が期待できます。
伊藤 ---
それでは最後に、現役時代、中島さんオリジナルの必殺技とかありましたか?
中島 ---
必殺技なんてないよねぇ・・・。
伊藤 ---
お客様に絶対に乗っていただけるみたいな。
中島 ---
絶対に乗っていただく方法なんてないけど、意識していたのは、信号で停まっている時に、交差する道路のタクシーがどっちに多く進んで行ったのかを見ておくこと。例えば、左折するか直進するかで悩んでいる時に、交差する道路で、進行方向に空車のタクシーが行ったと思ったら左折するし、その逆も然り。他の車が行かない方を選んでいたかな。
伊藤 ---
敵がいないところに足を運んでいたわけですね。
中島 ---
信号待ちしている時もそういうことを考えていたかな。
伊藤 ---
やっぱりライバルはいない方が?
中島 ---
そうそう。やっぱり他の車と違う動き、違うタイミングで動くかが大事だから。
伊藤 ---
大変ですね。お客様も見ながら運転して、他のタクシーの動向も追っていくとなると。
中島 ---
そうですね。大変は大変な仕事だと思いますけど。
伊藤 ---
そういうことは、新卒ドライバーに教えていたりするのですか?運行管理のお立場として。
中島 ---
新卒に限らないけど、他のタクシーと違う動きをするようにと指導しています。
伊藤 ---
では、僕がドライバーになった暁には色々と教えていただいて。
中島 ---
ドライバーになる気あるの?
本気でやる覚悟がないなら教えないけど。
伊藤 ---
・・・。(沈黙)
中島 ---
まあいいや、なかったことにしよう。(笑)